ハードルのタイムを縮めるために必要なこと。キーワードは「臀筋」

こんにちは。アーチビレッジの亀山です。

 

今回は、ハードル選手に必要なことについてお話しさせて頂きます。

 

ハードル選手ではない方は、ハードルに対してどんなイメージをお持ちですか?

 

怖い。痛い。難しい。

 

 

体育でやりたくない種目の上位に常にランクインしているであろうハードルですが、全速力で障害物を超えるという、短距離走の中でもちょっと特殊な種目であります。

 

 

まずハードル走とは、男子110m、女子100mのレーンの中に並ぶ、10台のハードルを越えながらタイムを競う競技です。

 

 

ハードルの高さはこのように決まっています。

 

一般

U20

中学生

男子

1.067m

0.991m

0.914m

女子

0.838m

0.838m

0.762m

 


また高さにかかわらず、距離はこのように決まっています。

スタートライン~1台目ハードル:男子13.72m 女子13m

ハードル間:男子9.14m 女子8.5m

10台目ハードル~フィニッシュライン:14.02m 女子15m

(参照:日本陸上競技連盟公式サイト)

 

 

 

ハードル走のタイムは、男子なら110m走、女子なら100m走の自分の記録に、いかにタイムを近づけられるかを一つの指標とします。

 

 

つまり、ハードリングがいかにうまくできるかで勝敗が決まるということです。

 

ハードリングがうまくできる、の中には、細かく見ていけば多くの要素が組み合わさっています。

 

そこで今回はトップ選手のハードリングを分析しながらその要素を紐解いていきます。

 

 

 

分析させていただくのは、現在の世界記録保持者であるアメリカのグラント・ホロウェイ選手。

大学生のころから全米チャンピオンに何度も輝いています。

画像:Youtubeより引用 https://www.youtube.com/watch?v=KwUHc2s2P0o  https://www.youtube.com/watch?v=6q-UDfeUs-I

 

 

左の写真は、2021年室内陸上の60mHで世界記録の7.29をマークしたとき。

右は、2018年全米大学陸上の110mHで13.42で優勝した時の写真です。

 

上の2枚はハードルを越える直前、下の2枚は越えた直後の着地です。

 

さて、あなたはホロウェイ選手が2021年で世界記録をマークするために、2018年のホロウェイ選手にどんなことを伝えますか?

 

 

よく、ハードルを越える際に振り上げる足と反対側の腕を上から回してハードリングをする選手がいます。

上から回すことで勢いが付き、股関節を1.067m以上の高さまで上げることができるためだと思いますが、人によってはそれがロスとなります。

 

日本新記録をマークした泉谷駿介選手のように、このフォームでもロスにならない場合もありますので、一概には言えませんが。

 

 

ただ考えてみれば、できるだけ疾走のフォームに近い方がスピードは落ちにくいですよね。

ハードリングするとしてもできるだけ腕は直前まで通常の腕振りである方が有利に働くのです。

 

ホロウェイ選手は身長が190㎝あるのですが、190㎝あるからできることだと思うかもしれません。

でも、実は関係ないんです。170㎝の選手でも腕を上から回さずにハードリングをすることは可能です。

 

これで身長を言い訳にできなくなってしまいました。

 

ではまず、腕振りを変えるように言いますか?

それとも片脚ジャンプの練習をしますか?

 

 

もう少しよく見てみましょう。

 

この越える前・越えた後という2つのフェーズでは、どちらでも片脚立ちになり反対側の股関節が深く曲がっていますね。

 

越える前の写真が分かりやすいかと思いますが、2018年(右)よりも2021年(左)の方が臀筋(でんきん=お尻の筋肉)が働いていることが分かります。

 

どこでそれが分かるかというと、2021年の方が上半身のブレが少なく左脚が高く上がっていますね。これは、股関節周囲の筋肉(腸腰筋・内転筋群・腹筋群・ハムストリングスなど)が同時に働き、使うことができている証拠でもあります。

 

働く・使うというのは、「筋肉が力を使うべき瞬間に力を発揮し、筋肉の役割を果たすこと」と言い換えられます。

 

よって少ない力でハードルの高さまで股関節を上げることができ、ハードルをまたぐように超えることが可能となります。

 

 

そのために大切なことは、腕振りを変えることでも片脚ジャンプの練習でもなく、「片脚立ちで臀筋を使うこと」なのです。

 

 

 

 

 

陸上短距離で記録を出している選手は、みな臀筋が発達しているように思います。

 

しかし、臀筋が発達していても記録を出せない選手もいます。

 

それは、「ただ発達しているだけ」です。

使えていないんです。美尻なだけです。

 

 

美尻を目指している方は臀筋のメニューをたくさんやるといいと思いますが、使える筋肉を手に入れたい場合は、それに加えて競技動作に近いフォームでトレーニングすることが必要不可欠です。

 

走ること自体が片脚ジャンプの連続で、走るスポーツすべてで「片脚立ちでの臀筋」は大切ですが、100mH・110mH・400mHなどのハードリングという大きな負荷がかかる種目では、それがより顕著に必要となります。

 

また走幅跳、三段跳、走高跳、棒高跳などの跳躍種目では片脚での踏切が非常に重要で、まさにその瞬間に臀筋が働き、大きな跳躍へとつながります。

 

 

 

この2枚の写真とも、左側が臀筋を使えている状態、右側が使えていない状態です。

 

左側のフォームで踏み切ったら、ものすごい跳べそうです。

 

 

では、臀筋が働くためには何をしたらいいのか?ですね。

 

まずは臀筋が働きやすいのはどんなときかを考えます。

 

ホロウェイ選手のところで述べたように、股関節が曲がることが必要です。

 

つまり、骨盤の前傾です。

 

まずは、骨盤の前傾を作ることが基礎になります。

 

スクワットについてのついての記事はこちら

スクワットの動画はこちら

 

 

自分のフォームを見て臀筋が使えていないと感じたら、まずはぜひスクワットから始めてみてください。

また、この姿勢で立つことがすでに、競技動作に近いトレーニングにもなるので、ぜひ試してみてください。

 

今回はハードルのフォームについてもお話ししましたが、ホロウェイ選手のフォームが最もいいというわけではないので、ご自身に合ったフォームを追求していただき、何が足りないかを考えるヒントにしていただければと思います。

 

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